
「あそこだ」ヤーブレックは狭い戸口に向かっておりている、短いぐらぐらする木の階段を指さしながら言った。「いったん中へ入ったら、なるべく顔は下に向けてくれ。あんたたちがナドラク人でないことを、中の連中に知られたくないからな」
かれらはぎしぎしきしむ階段をおり、居酒屋の戸口からそっと入った。内部は暗くすすけ、汗とこぼれたビールと腐敗した嘔吐物の臭いがしみこんでいた。部屋の中央に掘り抜かれた火穴は、灰でびっしり覆われ、何本かの大きな薪がおびただしい煙と、わずかな光を発しながらくすぶっていた。正面にある二つの窓は、まわりの壁よりもわずかに明るい程度で、たるきのひとつから石油ランプが鎖で吊り下げられていた。
「ここに座っていてくれ」ヤーブレックが、背後の壁に押しつけられたベンチを小突きながら言った。「すぐに戻ってくる」かれはそう言い置いて、居酒屋の正面の方へ姿を消した。ガリオンは素早くあたりを見まわしたが、すぐにドアの両側で人目につかないように見張っているヤーブレックの部下の姿が二人、目に入った。
「これからどうするんだい」かれはひそひそ声でシルクにたずねた。
「ここでじっと待って何が起こいじゃないか」シルクは言った。
「何だかあんまり心配してないようだね」
「じっさいのところ、全然心配しちゃいないさDream beauty pro 脫毛」
「だけど、ぼくらは逮捕されたんだろ」
シルクはかぶりを振った。「誰かを逮捕するときには、手足にかせをはめるものさ。ドロスタ王はわたしに話がある、ただそれだけさ」
「でも手配書には――」
「そんなもの、わたしは気にしちゃいない。あの手配書はマロリー人用に書かれたものだ。ドロスタ王の用件が何であれ、連中に気どられるようなまねはしないはずだ」
居酒屋の人ごみをかきわけながらヤーブレックが戻ってきた。商人は二人のかたわらの垢ですすけたベンチにどすんと腰を下ろした。「すぐにドロスタ王が見える」かれは言った。「待っているあいだに何か飲むかね」