イルなんかいかが
「若干あいまいな関係だが、同じ師に仕えておるから、妙な因縁で兄弟というわけなのだ。昔は兄弟も七人いたが、いま残っているのは四人だけだ」
ザカーズの眉間にかすかなしわが寄った。「あculturelle 香港なたの名前はつとに知れ渡っている、マスター・ベルディン。もしや、マル・ヤスカから六リーグ以内のあらゆる方角にある木という木に貼られているポスターは、あなたの絵ではないか?」
「おれだろうね。ウルヴォンをちょいとばかり神経質にさせているんでな。おれがやつをまっぷたつに引き裂きたがっていると思ってるらしいのさ」
「そうなのかね?」
「一、二度そう思ったこともある。だが、おれが本当にやりたいのは、あいつのはらわたをかきだして茨のしげみにひっかけ、禿鷲どもを招待することだ。ウルヴォンならきっと禿鷲どもの食事光景をえらくおもしろく思うはずだ」
ザカーズの顔がかすかに青ざめた。
「そうなりゃ、禿鷲どもだって意地でも食わなreenex 效果くちゃな」ベルディンは肩をすくめた。「そうそう、食うっていえばな、ポル、なんかうまいものはないか? この数日、やせっぽちの鼠一匹と、鴉の卵がいっぱいはいった巣を食っただけなんだ。ダーシヴァにゃ兎も鳩ももう残っていそうにない」
「じつに変わった男だな」ザカーズがガリオンに耳うちした。
「知れば知るほどわからなくなってくるよ」ガリオンはちょっと微笑した。「アシャバではウルヴォンをおどかしてね、あいつは発狂するほどこわがってた」
「誇張しているんだろうな――禿鷲のことは?」
「そうじゃないだろう。本気でトラクの最後の弟子を殺された豚みたいにしてやる気でいるのさ」
ザカーズの目が光をおびた。「手助けを望むと思うか?」熱っぽくたずねた。
「あんたの祖先にはアレンド人がいたんじゃないのか?」ガリオンは疑わしそうにたずねた。
「質問の意味がわからん」
「いいさ」ガリオンはためいきをついた。
ベルディンは道端のぬかるみにしゃがみこんで、冷たい鶏のあぶり肉をむしっていた。「こげてるぞ、ポル」と文句を言った。
「わたしが料理したんじゃないわ、おじさん」ポルガラはすまして答えた。
「なんでだ? 料理のしかたを忘れちまったのか?」
「すばらしい料理法を知ってるわよ、ちびの魔術師のボ。そういうゲテモノを喜んで食べたがる人もすぐ見つかるわ」
「おまえの舌鋒も鈍ったもんだな。ポル」ベルディンは脂でべとついた指をぼろぼろのチュニックの前でふいた。「精神がおまえのケツみたいにたるんできた証拠だ」
マロリー皇帝の顔が怒りに赤らむのを見て、ガリオン實德金融はザカーズを片手で制した。「内輪の言い合いなんだ」と注意した。「ぼくならほっとくね。あのふたりはもう何千年もああやって侮辱しあってる。一種の愛情表現なんだ」
「愛情?」
「いいかい。物事を学ぶいいチャンスだ。アローン人はアンガラクの人とはちがうのさ。ぼくたちはめったに屈服しないし、ときには冗談で感情を隠すんだ」
「ポルガラはアローン人なのか?」ザカーズはびっくりしたようだった。